「身を切る改革」の真実|「個人献金は合法、やり方はいくらでもある」

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維新の党是、身を切る改革「企業・団体献金の廃止」

維新の会の公約として、常々「しがらみの無い政治」「組織支援の無い維新」として、「企業・団体献金の廃止」を訴え続けています。

維新八策
衆議院マニフェスト

このように、維新は個人・団体献金の廃止を常にアピールし、身を切る改革をやる改革者のイメージを図ります
(余談ではありますが、先日の大阪市議会選挙で大阪維新の会は住吉区の伊藤良夏・大阪市議の引退で、実妹を後継者にする人事を行っており、世襲批判も実態を伴っていません。)

パーティー券経由での抜け道を活用する維新

企業・団体献金の廃止をことさらにアピールする維新ですが、その実態はといえば、抜け穴を設けているのが実情です。
それはパーティー券です。

パーティー券を個人購入したというていで企業・団体がまとめて購入することで「抜け穴」(橋下徹氏曰く)が可能です。
さらには取りまとめをする「あっせん者」を経由する場合より実態は分からなくなります。
直で買う場合は、20万1円以上だと企業・団体名が公開されます。あっせんだとされません。
パーティー券の仕組みを用い、組織としての献金が実質認められているのが実情です。

“企業献金、パー券では受ける” 橋下氏
新党「日本維新の会」の代表に就く橋下徹大阪市長は19日、新党では「企業・団体献金(の受け取り)は禁止する」としながら、一方で「企業・団体にパー(ティー)券を売ることまでは禁止できない」などと話し、結局、政治資金パーティー券を買ってもらうという形で企業・団体から献金を受け取ることを認めました。市役所で記者団に対して語りました。
橋下氏は「企業・団体献金の禁止」について「いままでの政治と決別するという意味ではここは譲れない線。『維新八策』にも書いてあるわけですからね」と強調。ところが一方で、「ただね、ザルがある。抜け穴がパーティー」などと自ら抜け穴を明かし、「政治資金パーティーと(企業・団体)献金はいまの段階では区別させてもらいたい」などと述べました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-20/2012092004_02_1.html

「維新」合流の国会議員 「八策」で禁止掲げるも…集める企業・団体献金
橋下氏は、「企業・団体にパー(ティー)券を売ることまでは禁止できない」(9月19日)ともいっています。「維新」に合流した国会議員は、これを実践しています。
たとえば、谷畑氏の関連政治団体「谷畑孝後援会」は10年11月に「励ます会」を開き、2342万円を集めていますが、地元の工務店など6社に計460万円分のパーティー券を買ってもらっています。松野氏の関連政治団体「松野頼久後援会」も同年、「新春のつどい」を開催、1848万円を集金。うち、西部電気工業(福岡市)、地元の医療法人など4団体が計112万円。文字通り、形を変えた企業・団体献金です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-14/2012111401_04_1.html

“抜け穴”使い金集め 政治資金パー券利用 橋下「日本維新の会」 「企業・団体献金禁止」掲げるが…
橋下徹大阪市長が代表を務める「日本維新の会」は、「企業・団体献金の禁止」を規約で掲げています。ところが橋下氏は「ただね、ザルがある。抜け穴がパーティー」(9月19日の記者会見後の囲み取材)などと発言。政治資金パーティーを容認することで事実上は、企業・団体献金を続けようとしています。橋下氏はパーティーをどう“抜け穴”として利用してきたのか。これまでの金集めの実態からみてみると―。
政治資金収支報告書によると橋下氏の政治団体「橋下徹後援会」には、3年間(2008年~10年)で計1億915万円の収入があります。このうち政治資金パーティーによるものが7839万円と7割以上を占めているのです。
「あっせん」で
さらに同会のパーティー収入は、実態をわかりにくくする手法がとられています。上限なしでパーティー券代を主催者に収めることが可能な「あっせん者」によるものが3年間で約4927万円と、収入の6割以上になります。
1個人による「あっせん」額の最高は613万5千円。469万円、420万円、391万5千円と高額が並びます。
「あっせん者」は、パーティー券を購入してもらった人の名前や額は、内訳を記録した「明細書」にしてパーティーを主催する政治団体に提出します。
しかし、政治資金規正法では、政治団体に「明細書」の公開は義務付けられていません。そのために実際に誰がいくら購入したのか、収支報告書にはあらわれません。「あっせん」の実態はきわめて不透明です。
「あっせん者」と橋下氏の癒着が指摘されたこともあります。
08年1月に大阪府知事に初当選した橋下氏は、同年6月に橋下徹後援会で政治資金パーティーを開催し1819万円を集めました。この収入の1割にあたる180万円分を「あっせん」した知人の建設業者が、その後に5件の府公共工事を次々と受注。その総額は6億7784万円にのぼりました。(本紙11年11月5日付既報)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-22/2012102201_03_1.html

政治資金パーティーでの抜け穴を継続する永藤氏

JC主催の討論会にて、野村ともあき氏、永藤ひでき氏、立花孝志氏それぞれのこの問題への立場が明確になったくだりがある。
野村、立花両氏が、永藤氏の主張に対し、パーティー券の欺瞞を追及したのである。

2019年【堺市長選挙】公開討論会その1

野村ともあき:さきほど企業団体献金を受けないということを御表明なされましたけども、私自身も同じ考えでございます。
私はそれに加え、政治資金パーティーも行わないという方針を今回選挙でみなさんにお約束したいと思いますけども、
永藤さんは政党に所属し、公認を受けておられますけども、政党・個人、両方含めて、
政治資金パーティーと、それから企業・団体献金というものをどう対応していくのか考えをお示しください。

立花孝志:野村さんに被られてしまったのですが(笑)、先ほどの永藤さんのお話ではなんか特定の業界団体ということっだったので、
例えば民間の株式会社さんであるとか、個人経営のお金持ちの個人さんとか、そういう政治資金パーティーですよねえ

僕自身は基本的には法人だけじゃなく個人からお金貰うのもやめてます。
あのどれくらいの金だったら貰っていいとかですね、そういう業界団体以外ということは民間の会社なりを含んでいるのか?教えてください。

永藤英機:今お二方からのご質問はおそらく同じ視点かと思うんですよね。
私自身大阪府議会議員を務めておりました6年半のあいだ、政治資金パーティーというものは一切行っておりませんでした。
また法律では政治資金、企業からの献金というものは既に禁止をされておりまして、個人からのみ受けることができるということになっています。
これから、では全ての政治資金パーティーをどうするか?ということを御質問をいただきました。
今、私のマニフェストに、今日発表したんですけども、掲げている内容、給料3割カット、そして退職金もゼロにということで、恐らく市会議員さんと同じくらいの給与でですね、しかも政務活動費もありませんので、ほんとにこれ政務、公務はまあ日中平日は秘書が付くと思うのですけど、それ以外の活動となると、 まあ大規模なホテルを使ってのパーティーというのは今後もする予定はないのですが、やはりそこは思いある市民の皆様からやはりご寄付はいただく形は続けたいなと。

まず訂正をしておきます。竹山前市長が既に退職金廃止、給与半額を前回公約にし実施しているため、既に堺市の市長報酬は堺市議と「同じくらい」どころか、堺市議以下になっています。
(つまり市議に当選したところの野村前堺市議が出馬するのは収入としては大損です)

もうひとつ指摘しておくと、企業団体献金については、
政治資金規正法では、企業および業界団体が、政治家個人へ献金をおこなう行為を禁止しているが、政治家の所属する政党や政治資金団体へ献金することについては認めている。
それを経由して維新の会から永藤英機後援会に寄付をすることで迂回は可能です。

前回の市長選のあった29年の政治資金報告書には選挙直前に大阪維新の会(松井一郎代表)から永藤英機講演会に300万円もの巨額の寄付がなされていることが確認できます。

 平成29年政治資金報告書
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00307365/29ba0305.pdf

さらに、この平成29年の堺市長選の選挙直前には、大阪維新の会・堺が大規模な政治資金パーティーを行っています。

大阪維新の会・堺 平成29年政治資金報告書
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306160/29ak0632.pdf

大阪維新の会 ・堺「躍進の集い」という政治資金パーティーが選挙を前に行われている。
この政治資金パーティーは、維新支援の経済界の団体である「経済人・維新の会」でも呼びかけられた。

経済人・維新の会|大阪維新の会・堺「躍進の集い」のご案内
http://one-osaka.com/yakushin.pdf

経済界の御歴々が政治資金パーティーを選挙にあたり呼びかけるような支援団体を持ちながら、あたかも業界からの金が無いかのような欺瞞はいかがなものでしょうか?

野村、立花両氏の鋭いツッコミに対し、表現をごまかしている様子も、
「すべての政治資金パーティーをどうするか?」という問いに、大規模な施設を使う予定はないが続けたいとしており、このパーティー券の構造は温存するつもりであるということを永藤氏が申しております。

野村氏から、「政党・個人含めて両方」と釘を刺されて見解を問われているのに、「企業献金は法律で既に禁止されている」などと無知な市民を煙に巻く説明をしているのは不誠実です。
野村氏は、政党への献金を介して個人の政治団体に流れていることを指摘しているのに、そこには触れず、あたかも政治資金パーティーとは自身は無縁かのような返答は答えになっていません。

「個人献金は合法。やり方はいくらでもある」とかつて述べていた永藤氏

永藤英機氏は、維新政治塾で面接官を担当していたといい、そこでの資金集めを説いている内容をTwitterで書いている。
資金集めできるかが重要であり「個人献金は合法。やりかたはいくらでもある」のだそう。

個人献金は合法であり、やり方はいくらでもあるとは、いったい何を指しているのでしょう?

個人献金の仕組みを用い、いったいどういう手法があるとこれは言ってるのでしょうか?

「政治資金パーティーはしたことない」という永藤氏の欺瞞

永藤英機氏は、「 議員時代は一度も政治資金パーティーやらなかったし、もし市長に当選していても今後もしなかっただろうなぁ。 」といい、
政治資金パーティーを行うこと自体を「 おいしい目にありつきたい人 」と今年3月に批判をしています。

しかしこれは実態とは相当違います。

永藤氏が出馬した2年前、2017年(平成29年)9月10日告示、9月24日投開票の堺市長選挙の事前に、大阪維新の会が大規模な政治資金パーティーを開いてきているのはどうなのか?


平成29年7月10日 大阪維新の会・堺 政治資金パーティー「躍進の集い」
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306160/29ak0632.pdf

平成29年9月5日 大阪維新の会 懇親会
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306160/29rk0005.pdf

さらに、この永藤氏の選挙直前の大阪維新の会の懇親会の収入を見れば、企業・団体が名を連ねている


企業

団体

普通に企業や業界団体が名を連ねており、維新の会は言っていることとやっていることに大きな齟齬があるのではないでしょうか?

さらに、永藤英機後援会にこの時期に大阪維新の会より寄付が行われていることが同報告から分かります。

(市長選の)公認料の名目で300万円。

さらに、振り込まれた永藤英機講演会の収支を確認します


永藤英機後援会 平成29年政治資金報告
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00307365/29ba0305.pd

さらに永藤英機後援会から、永藤英機個人に公認料として寄付されている。

つまり

企業団体献金などのお金が大きく入っている大阪維新の会

永藤英機後援会

永藤英機・本人


とお金が流れているのです。

さらにこの市長選を前にした政治資金パーティーを永藤氏は自ら宣伝をしている。

「今年も!」などと書いていますが、この前年、平成28年度分の大阪維新の会・堺には「躍進の集い」はありません。
この年に限って選挙直前に開かれたものです。
また平成27年度分では、2月13日に行われていますが、これは3月26日公示の統一地方選挙を前にしたものでししょう。
これが選挙を前にした資金集めを目的としたものであるのは明らかでしょう。
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00260106/28ak0632.pdf
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00260106/28ak0632.pdf

そしてこの組織から、自身に寄付が流れているのです。

実質的に自身の選挙にあたり大規模な政治資金パーティーを催し、企業・団体からお金を集めていた、と言えます。

これで「団体献金を受けない」「政治資金パーティーをしたことがない」とはよく言えるものです。

もしやこれが「 個人献金は合法。やり方はいくらでもある 」なのでしょうか?

より政治資金に厳格な野村ともあき氏、立花孝志氏

永藤英機氏本人や陣営は金のクリーンさをことさらにアピールしていますが、実際にはパーティー券の取り扱いへの説明をみても不透明なのは永藤氏です。

立花氏は選挙公報には記載が無いが、公開討論会で自身の立場を表明済み。
三者の主張を比較するとこういうことになる。



立花孝志氏(NHKから国民を守る党)
そもそも法人からも個人からも原則寄付を受けていない

永藤英機氏(大阪維新の会)
業界団体や職能団体からの寄付は受け付けません
(しかし、政党介したり、パーティー券を介した企業団体献金の仕組みは温存)

野村ともあき氏(チーム堺)
政治資金パーティーはしません
企業団体献金は受け取りません


このように、実は最も政治とカネのクリーンさを訴える維新・永藤氏が一番消極的であるのが現実です。
政治資金の透明性というのでしたら、維新が行ってきている不透明なパーティー券の仕組みにメスを入れねばならないのではないでしょうか。
維新の会はこれを温存して、いくら企業団体献金廃止を誇っても意味が無いのではないでしょうか。




また、永藤英機氏には、市民オンブズマンの上脇博之・神戸学院大学教授の指摘で
政治資金不記載疑惑等が指摘されていることも付け加えておきたい。

政治資金問題から見える「維新の正体」その48(「永藤英機後援会」のセコイ寄付不記載疑惑)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916340.html

政治資金問題から見える「維新の正体」その49(「永藤英機後援会」の少額の「経常経費」支出と2つの事務所)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916245.html

政治資金問題から見える「維新の正体」その51(永藤英機府議の「政務活動費」詐取疑惑)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916384.html

永藤英機氏は、街頭でクリーンアピールをする前に、まずこれらオンブズマンの指摘に釈明するべきではないでしょうか。

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ファクトチェック堺
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