「未来前進プロジェクト」は無駄なハコモノ公約ではない

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野村ともあき候補が発表した公約「未来前進プロジェクト」及び「野村デラックス」について、沢山の支持、意見が寄せられていますが、その中に「また不要なハコモノを作るのか」「そんなものをつくったら大阪府と堺市で二重行政が生まれるのではないか?」というお声も大変多くあるのをSNS 上などで見かけます。

まずこちらを御覧ください。これは野村ともあき候補者が、堺市会議員時代の2017年9月の決算審査委員会での答弁を受けて更新したブログの記事ですが、大変参考になるものです。

堺市に無駄なハコモノは本当に多いのか? – 堺市長候補 野村ともあきブログ

私は決算委員会での質問の出番はありませんが、先日の総務財政委員会で「都市経営における歳入と歳出のバランスについて」というテーマで質問を行いました。特に、なぜか選挙の争点として無理やり批判のやり玉に挙げられている感のあるハード整備(いわゆるハコモノ)について市長に質問しました。
当日偶然、ソレイユ堺会派の渕上猛志委員からも同様の質問があり、渕上委員は物理的な面を中心に、私は財政的な面から、堺市のハード整備の現状について聞くことになりました。

二人の質問を統合した結論から申しますと、堺市のハコモノは他市と比較しても多いわけではありません。

当局の答弁から判明した客観的な数字によれば、堺市の施設の「人口一人当たりの延べ床面積」は全国20政令市の中で16位(下から5番目)。「人口一人当たりの普通建設事業費」は同11位となっており、実際の建物の量も投資しているお金も決して多いわけではありません。むしろ地域によっては学校校舎や地域の集会施設が足りていないくらいです。

まず前提として、堺市は人口一人当たりの施設の延べ床面積や、建設事業費というのは、全国の政令市の中でそれほど多くない、むしろ自治体の人口規模を考えると、少ない部類に入るというのが実はあるのです。

こういった建物への投資が少ない分、堺市の財政が健全になっているという見方もできますが、一方で市民の皆様からいただいた税金を、市民サービスとして市民に還元することができていないという見方も一方ではあります。

ひとつの例として、野村ともあき候補のおかわりマニフェスト「野村デラックス」の中に、「Bグリーン堺プロジェクト」という野球専用多面式グラウンドを整備するというものがあります。


野村デラックス公約②【Bグリーン堺プロジェクト】堺市長選 野村ともあき

野村デラックス公約②【Bグリーン堺プロジェクト】堺市長選 野村ともあき

動画の中で野村候補も話していますが、堺市は多数のプロ野球選手を輩出し、リトルリーグの強豪チームがあり、かつてはプロ野球チームの二軍練習場、実業団チームの名門野球チームがホームとしていた、野球のまちといっても過言ではない都市だったにもかかわらず、草野球や少年野球でしか使用できないような野球場しか、公的に整備されていない現状があります。

もう野球場は大阪府全域に沢山あるからこれ以上必要はない、という声もあるとは思いますが、こちらをご覧ください。これは「全国高等学校野球選手権大阪大会」、夏の甲子園大会の大阪大会における使用球場の一覧です。

大阪ドーム
舞洲ベースボールスタジアム
住之江公園野球場
大阪市南港中央野球場
豊中ローズ球場
万博記念公園野球場
花園中央公園野球場
久宝寺緑地野球場

全国高等学校野球選手権大阪大会 Wikipedia

 お気づきでしょうか、大和川より南の大阪南部には、高校野球の公式戦を開催するスタジアムが存在していないのです。歴史的にも2004年に閉鎖された藤井寺球場が、かつてあった唯一の南大阪での開催会場でした。

この大会は北地区と南地区に分かれてブロックごとに大会が進みますが、北地区(万博、豊中、舞洲・南港中央・花園)と、北大阪に満遍なく会場が分布されているのに対して、南地区(住之江、久宝寺、舞洲・南港中央・花園)はほとんどが北部に集中しています。

これは南大阪の住民にとって利用しづらいものです。特に毎週末のたびに少年野球の大会があるチームだと、子どもたちの試合会場への送り迎えというのは、保護者の方の重たい負担になっていて、子どもたちの野球離れの一因になっているとも言われています。


これは今回相手陣営がよく批判している 堺市民芸術文化ホール 、通称「フェニーチェ堺」を無駄なハコモノ視するあたりにも見られます。
「南大阪における芸術文化の創造・交流・発信の拠点」という狙いを打ち出し、国際的な芸術家の招聘もしうる施設となる予定です。
大ホール2000席に、小ホール300席の、大阪市含め、府内のどの自治体も持っていない規模の堺の顔となる施設となります。

(仮称)堺市民芸術文化ホール運営管理方針(完成予想図やコンセプトなど計画内容)
http://www.city.sakai.lg.jp/kanko/bunka/geibunhall/koremadekeika/uneikanrihoushin.html

ご覧の通り南大阪が大型ホール空白域になっているという状況があります。
これを政令市の権限財源を生かし整備することは、堺市民のみならず周辺町村含めた南大阪においてメリットがあるものであるはずです。

学校や図書館、公民館などもそうですが、地域の人達がアクセスしやすいところに、整備していくことが、住民サービスとして重要であります。一つあれば済むということは決してありません。

野球場の話に戻りましょう。
多面グラウンドの野球場というと、なにか凄くお金のかかる施設のように思われるかもしれません。スポーツ施設の建設費と言うと、どうしてもオリンピックのメイン会場や、プロ野球やJリーグのホームスタジアムの話ばかりが表に出て、200億円とか1000億円というような建築費を想定してしまいます。

しかしこれらの施設の建設費というのは、ほとんどが観客席とそれに伴う付帯施設の割合が多く、純粋に競技だけをするスペースで考えると、それほどの費用はかからないのです。例えば今すでにある、堺市西区築港新町の「みなと堺グリーンひろば」にある野球・ソフトボール会場は、土のグラウンドですが、四面で3000万円という費用で整備されたものです。

「Bグリーン堺プロジェクト」は、この「みなと堺グリーンひろば」の用地で、すでに広場や運動場として造成されている土地を利用できるので、実はそれほど予算裏付けのない夢プロジェクトという建前には、実は少しだけ違い現実的であり、堺市内はもとより、南大阪の野球をプレイされる方々が、大阪の北部まで遠出することなくプレイ環境を提供できる市民サービスになります。

文化ホールも同じです。アクセスのしやすさなどもありますが、ホールにはそれぞれ特性があり、多目的になんでも使えるようなものから、演劇に特化した劇場ベースのもの、演説会やシンポジウムなどに向いたものなど、様々な役割の違いがあり、一つあればいいというものでは決してありません。

J-GREENはあれだけ広大なサッカーフィールドがありますが、現在、土日祝、夏休み等の長期休暇は、ほとんど抽選に当たらないと予約が取れない状況になっています。来年には原池公園野球場がオープンし、南大阪に高校野球大会が開催可能な規模の野球場が復活します。

集客型の野球施設としての原池公園野球場、競技施設としての多面野球場としてBグリーン堺というような役割を分けて整備していくということこそが、きめ細やかな行政による市民サービスの向上といえます。

もちろん無駄なお金は使うべきではありません。優先順位は考えられるべきです。

しかし皆様から集めたお金を市民サービスとしてお戻しすることは、自治体の役目です。市民サービスは還元なのです。

昨今、ひたすら黒字を誇ることが自治体改革のようになってしまって競い合うような議論があります。
ここに大きな誤解があります。
自治体財政は「収支とんとん」が最も理想と言われます。
自治体が黒字、つまり儲けてているということは、税金を取りすぎているとも言えるのです。

自治体は商売では無く、儲けを増やすのがいい行政ではありません。
トータルで住民サービスを高め、住民が幸せな生活、人生を営めるということが理想的な行政運営です。


その意味で、住民サービスを悪魔視するばかりでは自らの首を絞めることになりかねず堺市の財政が以下の過去記事のごとく、現在非常に健全であることを考えれば
次期市長は投資ターンにあたると考えられ、全く冒頭にあげたような批判は妥当性を欠くと考えられます


永藤候補「マイナスの堺をゼロに戻す」とは一体?財政も好調ですが…?
https://factchecksakai.net/?p=81



チーム堺 野村ともあきの公約はこちら
https://teamsakai.com/

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ファクトチェック堺
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