がん検診無償化、両候補の違いは?

記事
     

今回の堺市長選挙において、野村ともあき候補、永藤ひでき候補ともにに「がん検診無償」をアピール。しかしその実態は大きく違います。今回はそこを掘り下げます。

がん検診無償化を広報物に掲げる両候補

永藤ひでき候補

「実績」としてがん検診無償の継続と拡充をアピール

野村ともあき候補

野村ともあき候補のほうは、新たな公約として、無料がん検診と歯科検診の拡充・恒久化を掲げています。

…と同時に現市長(=永藤市長)によって歯科検診は廃止、またがん検診はあくまで今年度までの期間限定であると指摘しています。

がん検診無償政策は竹山市政時代に始まる。

平成29年の堺市長選挙の選挙公報を確認しましょう。

竹山市長の公約にがん検診無償があり、竹山時代に始まった事業であることが分かります。

竹山市政も、永藤市政も、がん検診はあくまで一時的な啓発イベント

実は、竹山市長にも、永藤市長にも「がん検診」については欺瞞があります。
あくまで検査の啓発活動としての時限施策でしか、これまでないのです。

堺市のこれまでのがん検診の取り組み経緯については以下の資料が詳しい。
https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gyosei/shingikai/kenkofukushikyoku/kenkobu/df_filename_704008.files/05_siryou2.pdf

堺市のがん対策の経過
■堺市がん対策推進条例の制定(平成24年9月27日条例第48号)
■堺市がん対策推進委員会の設置(平成25年4月1日)
■堺市のがん対策の推進について(諮問)(平成25年10月3日)
■堺市のがん対策の推進について(答申)(平成26年12月9日)
■胃がんリスク検査の導入(平成28年10月1日)
■前立腺がん検査の導入(平成29年6月1日)
■がん検診総合相談センター(コールセンター)の開設(平成29年6月1日)
■がん検診総合相談ポータルサイトの開設(平成29年6月28日)
■がん検診受診促進強化期間を設定し、5がん(胃・肺・大腸・子宮・乳がん)検診自己負担金無償化を実施(平成30年度・令和元年度)
■がん検診受診促進強化期間を延長し、5がん及び胃がんリスク検査、前立腺がん検査
自己負担金無償化を実施(令和2年度・3年度)

https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gyosei/shingikai/kenkofukushikyoku/kenkobu/df_filename_704008.files/05_siryou2.pdf

つまり、

竹山市長 
「 ■がん検診受診促進強化期間を設定し、5がん(胃・肺・大腸・子宮・乳がん)検診自己負担金無償化を実施(平成30年度・令和元年度) 」

永藤市長
「 ■がん検診受診促進強化期間を延長し、5がん及び胃がんリスク検査、前立腺がん検査自己負担金無償化を実施(令和2年度・3年度) 」


ということであり、継続施策とやってきた。永藤市長が「拡充」したというのは実績と確かに言えるでしょう。

さらに同資料には、コロナ禍のため無料がん検診の機会を逃したかたのために、終了時期を延ばし、令和4年度も無償を継続するとあります。

https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gyosei/shingikai/kenkofukushikyoku/kenkobu/df_filename_704008.files/05_siryou2.pdf

しかし同時に、あくまでこの事業が一時的な啓発目的のキャンペーンであり、終了前提であることも書かれています。

あくまで無償化は定期検査についての啓発事業であると定義づけられています。
具体的に令和5年以降に、自己負担無償化終了後の新たな受診利率向上施策の検討をしていくとのこと。
なんらかの無償化に変わるインセンティブは継続する気のようですが、無償よりは負担増となるのでしょう。


この、コロナ禍での検査機会失ったかたのための令和4年の1年延長時のこの事業の広報を確認します。

このように令和5年度末までのあくまで1年延長でしかないことが分かります。

令和5年度については、令和5年4月に1年の継続が発表され、継続。
https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gyosei/hoshin/r5_soshikiuneihoshin/r5_kenkoufukushi.files/04-1tokuteikenshingankenshinR05.pdf

令和5年の延長理由は令和4年と同じで、コロナ禍での受診控えを取り戻すためとのことです。
しかしあくまで恒久施策ではなく、啓発事業である位置づけはそのままに、1年延長するものです。

野村ともあき候補の公約は「恒久化」

対して、野村ともあき候補の政策は、根本的に位置づけ違います。
竹山市長、永藤市長の取り組みが時限措置であり、がん検診の啓発目的であったのに対し、
野村候補は、がん検診をベーシックサービスと位置づけ、健康寿命アップのためのものとして打ち切ることを前提としない恒久施策とするものです。

「歯の維持」が健康寿命には重要と言いますが、歯科検診無償施策の復活と、がん検診がセットで位置づけられていることでも思想が分かるところです。


結論としましては、

永藤市長のがん検診無償は、「終了前提の一時的啓発キャンペーン」
野村候補のがん検診無償は、「ベーシックサービスと位置付けた健康寿命アップ政策」


これは思想的に似て非なるものです。
野村ともあき候補の政策は、竹山市長とも永藤市長とも違ったものです。


記事
ファクトチェック堺
タイトルとURLをコピーしました